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交通事故による後遺障害等級認定・損害賠償請求

弁護士法人 みお綜合法律事務所

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裁判上の問題点

労働能力喪失率

労働能力喪失率は、自賠責において認定された後遺障害等級をもとに、労働能力喪失率表(労働基準監督局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)から判断されることが多く、裁判所も自賠責の等級認定と同等の喪失率を認める傾向にあります。

障害等級労働能力喪失率
第1級100/100
第2級100/100
第3級 100/100
第5級79/100
第7級56/100
第9級35/100

しかし、訴訟においては、高次脳機能障害の場合にも、加害者側の保険会社から「自賠責で認定された後遺障害等級ほどの労働能力喪失率は生じていない」との反論がされ、労働能力喪失率や、そもそもの後遺障害等級認定の妥当性について争われることが多くなってきます。裁判例の中には、自賠責における後遺障害等級認定とは異なる(高い場合も低い場合もある)労働能力喪失率を認定するケースもあります。

労働能力喪失率は、逸失利益を算定する要素の一つであり(基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数)、適正な賠償を得るためには、きめ細かな主張立証活動が必要不可欠です。

当事務所では、高次脳機能障害の方のために、判例や医学文献などから問題行動を拾い出して作成した聞取表をもとに、支障の拾い出しに漏れがないよう備えています。

主張立証のポイント
主張・立証の際には、以下の点について、事前に入念な聞き取り調査等を行います。
  1. ① 事故前にできていた作業で事故後できなくなった作業の内容。
  2. ② 職場でのトラブル。
  3. ③ 作業が可能であるとしても、他人の指導や援助の下でないとできないか。

将来介護費用(1級、2級に限られない)

医療の進歩により、交通事故に遭い一命はとりとめたものの重度の後遺障害が残るケースは増えました。特に、高次脳機能障害で重度の認知障害が残った場合、将来の介護及びその費用負担は、被害者ご本人だけでなくそのご家族にも大きな負担となります。

自賠責保険では、高次脳機能障害の方について1級や2級のみ介護の対象となると制度設計されています。しかし、実際には、3級や5級の方でも見守りを中心とした介護が必要な場合が多いですし、実際に介護料が認められた判例があります。1級や2級でないから介護料は請求できないとあきらめるのではなく、きめ細かくかつ丹念に、問題となったエピソードや、介護や見守りが必要な事実を拾い出していく必要があります。

将来介護料(内容の立証)

また、高次脳機能障害においては、障害の内容および程度に応じて、どのような介護が必要になるのかが異なるうえ、高次脳機能障害の方によって、必要となる介護内容は異なっており、まさに千変万化ともいえます。

例えば、勝手に自宅を出てしまうと方向感覚も地理感覚もなく自宅に戻ることができないような障害があれば、常に看視が必要になります。家族の方に対してだけ感情を激高される場合には、ビデオ撮影により立証する必要があります。このように、将来介護の必要性やその内容については、きめ細かな主張立証活動が必要不可欠となります。

将来介護費用(介護者が仕事を辞めた場合の補償がない)

ご家族の誰かが、仕事をやめて介護に当たられることが多いですが、辞められた家族への仕事を辞めたことに伴う補償は、裁判上認められません。近親者慰謝料という形で一定程度は認められますが、仕事を続けた場合に得られる金額に比するとかなり低額なのが現状です。

また、裁判では、近親者が介護に当たった場合とヘルパー等のプロが当たった場合では、単価がかなり違ってきます。そのため、ご本人の生活の質からは近親者は仕事を辞めて介護に当たったほうが良いといえる点、そして、近親者は仕事を辞めないほうが得られる金額が適正金額に近づく点のそれぞれ相反する点のどちらを取るのかがよく問題となります。

成年後見の申立の必要(将来にわたり定期的に収支報告が課せられる)

遷延性意識障害や高次脳機能障害の後遺障害等級1級や2級の場合、成年後見を申立する必要があります。なぜなら、上記の後遺障害の場合は、法律上、賠償金を請求する意思能力を欠いていると判断される可能性が高く、被害者の方の代わりに財産の入出金を管理する成年後見人(通常は、ご家族が就任します)選任を家庭裁判所に申立する必要があるからです。

成年後見人となった場合、家庭裁判所に年に1回ほど収支報告を行う必要があります。報告のため領収証等の裏付資料が必要になりますし、被害者ご本人の資産はご本人のためにのみ使用しなければならず、この点で被害者ご本人のための支出かそうでないかの割り振りについて頭を悩まさなければなりません。